2009/09/27

大辻清司実験室デジタル保管計画(仮)



長らくブログには書いていませんでしたが、先の記事を書いた後すぐに、その記事をご覧になった大日方先生よりご提案をいただき、正式に大辻清司先生が残したものをひとさらいデジタルカメラで撮影してアーカイブ化するプロジェクト「大辻清司実験室デジタル保管計画(仮)」を発足しました。

プロジェクトチームのメンバーは現在のところ、大日方先生とその元生徒である私、同じく同級生であった村田卓也の3人です。

ミッションとしては、だれでも参照可能なデジタルデータ資料の作成という作業のみならず、「チームで『作品』として制作して発表する」というちょっと欲張った目標もあり、手間と時間をかけて、大日方先生監修のもとに大辻誠子夫人にも本格的にご協力をいただいて取り組んでいます。

すでに2回撮影を行い、さらにはこの月曜に3回目の撮影があるのですが、それでもまだまだ撮影がはじまったばかりで、おそらくは訪問可能日の関係から数ヶ月から半年はかかりそうです。





このプロジェクトについて書きたいことがいっぱいあるのですが、アウトプットとしての形がまだ見えていない段階でもあり、さまざまな発見や想いをうまく整理できていません。

撮影記録係としての任を受けて始めたとも言えますが、不思議なことに、その撮影作業ひとつとってもまるで写真学校の授業でも受けているかのように、実に様々なたくさんのことを学習している気になります。

テキストや作品を繰り返し見直し、ご本人が長らく生活し制作に励んでいたその場所で、著作物に登場したモノたちの現物を手に取り、眺め、再度デジタルカメラで撮影していく行為は、あたかもの再現実験をしているかのようで、様々なことを推理考察したり、何がしかの痕跡を補足し感じとろうとする行為に自然赴くのです。

それは地質学のフィールドワークのようにとてもサイエンティフィックな行為に思え、まさに「実験室」にふさわしい、何か不思議な運命めいたものを勝手に感じてしまうのです。



最初で最後の唯一無二の有意義な体験ではありますが、撮影作業や画像レタッチ作業の量も半端なく多いため、そうそう楽しんでばかりはいられそうもありません。途中でサジを投げることのないように取り組みつつ、また少しづつ何か書いていければと思います。


2009/08/01

大辻清司実験室

前のエントリからの続き、大辻清司の実験室であった半地下の1階スペースについてです。

上の写真で、左右の壁の棚は建築当初からの作りつけのもので、現在は外されていますが、正面奥の壁にもこれと同じものがあったそうです。手前が大日方先生、奥が誠子夫人です。

今回の訪問は、誠子夫人が部屋を整理していて新たに見つけた物について、保管しておくべきものかどうかを大日方先生が判断するのが目的でした。そういった研究調査の生の現場も見れて、貴重な体験です。




たとえばこんな、古い名刺など。電話番号に注目!



この部屋の棚の中には貴重な資料や、さまざまな実験、工作のもの、何に使ったのか不思議なものがたくさんあり、2007年の松濤美術館での『大辻 清司 の写真 —— 出会いとコラボレーション』で一部再現的に展示されていたものと再開です。しばし棚を鑑賞させていただきました。
















右側の棚は写真集が収められた本棚になっています。といっても、極一部の処分しきれずに手元に残っているものだそうです。現在では高価になっていると思われるものもちらほら。こちらもすこし見せてもらいました。



これはフランス語版でしょうか?ロバートフランクのアメリカンズ。たくさんテキストが載っていて、現在入手できるものとは作りが異なります。



これは古書店でもなかなか手に入らないのではないでしょうか。


アラーキーのこの写真集は初めて見ました。大型コンピューター(スパコン?)の写真との合わせが今見ても巧妙。


上原通りの住宅 訪問



夏休み中、建築家の篠原一男について調べにムサビの図書館にいったところ、偶然にも大辻清司の全仕事についての研究をライフワークにされている大日方欣一先生とばったり出会いました。その偶然をきっかけに、幸運なことに大日方先生の大辻邸訪問に同行させていただくことになりました。思わぬ展開です。

篠原一男と大辻清司
大辻清司の別荘「土間の家」(1963年)、そして自宅である「上原通りの住宅」(1976年)ともに篠原一男によるもので、土間の家についてはどの本でも大辻清司本人による撮影の写真が掲載されています。牛腸茂雄の「SELF AND OTHERS」にもこの土間の家は登場するそうです。

一方、「上原通りの住宅」に関しては、各書籍ではおもに多木浩二氏による写真がよく使われています。私自身はprovoke以外で多木氏の写真を見たのは初めてで、本の中での意外な出会いに驚いたのですが、奥様の大辻誠子さんによると篠原一男は多木氏の写真をとても気に入っていて、よく写真を頼んだのだそうです。

今回の訪問前の予習にと参考にしたのが多木氏のモノクロ写真だというのはなかなか不思議な気持ちで、さて、実際はどうなのだろうと気になりました。


上原通りの住宅
建物は3階建てで、一階は駐車スペースと、そのすぐよこにドアがあり、半地下になっている一階部分への入り口になっています。この半地下一階部分が生前の「大辻清司の実験室」兼書斎であったようです。こちらについてはまた後でエントリしたいと思います。


駐車スペースの壁にそって奥に2階の住居スペースに上がる階段があります。



最初の驚きは、この階段、駐車スペースの奥であり薄暗いはずの場所にあるのに、上がとても明るいのです。これは階段にそって傾斜したの屋根部分がそっくりそのままガラスの天窓になっているからです。


上がりきると、左右にドアがあり、左はキッチンへ、右側がメイン玄関でリビングルームへの入り口になっています。このドアが上がとがった形をしています。



これは少し下がった位置からですが、右は3階への階段。左は最初に入ってきた駐車スペースからの階段の天窓部分です。この上もさらに天窓になっているため、空の光が一番下までスルーするようになっています。


また、階段を上りきって後ろを振り返ると、斜めのガラス張りの天井がリビングとの境界になっているため、家の中が見える形になっていて、ちょっとびっくりします。まだドアを開ける前に先にお家の方とガラス越しにお会いすることになります。(有名な枝状のコンクリ柱である程度は目隠しされています。)とっさの居留守は使えませんね。:D


またこの斜めの天窓で光が反射して室内がかなり明るい。さらにここに空が映りこむため、リビングにいながらにして普通の視線で青空や白い雲が見ることが出来ます。リビングの中に投影された青空なのです。

そしてリビング側の境界、家の中央に大きな枝状のコンクリ柱があります。


これはリビング側から見た図。


このリビングの長テーブルと椅子は建築当初からの作り付けです。


3階へ。この階段は手すりもなく急なので、初めてだと慎重にゆっくり。


丸い屋根に、丸い窓の三階。


屋上テラスの天窓部分。


以上ですが、実際に二代目のご家族が生活されていますので、プライバシーに配慮して写真をトリミングなどしていますので、ちょっと窮屈に見えるかもしれませんが、実際にはとても開放的で広々とした印象を受けました。

奥様がとても親切に案内してくださり、生活するうえでの細かい気づきなども教えてくださいました。有名建築で生活されているため、雑誌などの取材や、海外から研究者が見学にやって来たりもあるそうで、そういったことも生活の一部として、できるだけ協力されているそうです。建築関係者は感謝しなければなりませんね!


2009/06/30

Ita☆Shaも掲載、Portfolioページ更新



少し前に完了していたのですが、まだBlogに書いてませんでしたので改めて書いておきます。個人サイト tsaka.jp のポートフォリオページをリニュ更新しました。

海外の方などへのこれまでの作品紹介を目的に、シンプルで一覧できる表示にしています。Mado、HOME(写真集からのセレクトバージョン)、そして現在進行形の Ita☆Shaと、どれも新しいセレクトだったりします。




2009/05/30

PHE09: Descubrimientos PHE. Groupe Exbition


6月11日~13日まで、スペインのマドリードで開催されている国際写真フェスティバルPhotoEspana2009(PHE09)のDescubrimientos PHEというポートフォリオレビューのイベントに参加してきます。

去年はこのイベントの写真集部門に応募していたのですが、今年は世界各地からやってくるレビュアーに作品をレビューしてもらうというものです。

PHEは日本ではあまり馴染みがなく、日本在住の日本人で応募したのはもしかしたら私だけかもしれません。現在NY在住の知人も応募していたそうなのですが、残念ながら一緒に参加することは出来ませんでした。その彼のNY留学先での日本人の友人は去年参加したのだそうです。

今年の参加者リストを見ると日本人はイギリス在住の女性が一人いるだけのようです。一方で同じく参加者である現在日本在住のフランス人のギヨーさんから「会いませんか」メールをもらい、先日私のMでの痛車写真展に来てくれてお会いすることができました。スペイン語どころか英語もつたない身としては、未知の外国でのイベントに対して事前に日本語が話せる仲間を得ることができたのはとても心強いです。

これだけみるとPHEは母国を出て外国に滞在している人が好んで参加したがるイベントのようにも思えてちょっと不思議です。逆に考えると、私が思い切った冒険として応募したのに対し、すでに外国に飛び出して暮らしている人たちにとっては、さらなる外国のイベントに対して敷居が低く、カジュアルにポンと応募できるのかもしれません。世界旅行の途中に別の国に立ち寄るような感覚かもしれないですね。


話を元に戻してポートフォリオレビューですが、作品を見せる相手であるレビュアーは、リストから希望する8人をセレクトすることができます。人気のある人は抽選となり、別のレビュアーに割り振られますが、8人中5、6人くらいは希望が叶えられるようです。ポートフォリオレビューの多くははじめからクジで割り振られるケースが多いようですので、PHEは参加者にとってお得なのかもしれません。実際に決まった私のレビュアーは以下の8人です。
  • Helen Cadwallader / Brighton Photo Biennial, Brighton 
  • Rod Slemmons / The Museum of Contemporary Photography - Columbia College, Chicago
  • Roger Szmulewicz / Fifty One Fine Art Photography, Antwerpen
  • Susan kismaric / Museum of Modern Art - MoMA, Nueva York
  • Stephan Erfurt / C/O Berlin, Berlín
  • Lesley A. Martin / Aperture Foundation, Nueva York
  • Nathalie Herschdorfer / Curator, Musée de l'Elysée, Lausanne, Switzerland
  • Anne Tellgren / Moderna Museet, Estolcolmo
英語の聞き取りに一抹の不安がありますが、そこはなんとか乗り切りたいところです。:D


この Descubrimientos PHE.は、PHE09のイベントの中でもかなり大きなものであり、マドリード市内にて参加者の作品を展示したグループ展も行われます。PHEのwebサイトは何故かフルフラッシュの作りこみで、閲覧者にものすごいストレスを与える激しく駄目なサイト(信じられないことに、ページという概念が無いためにパーマリンクを持たず、ブックマークなどが一切出来ず、ロードが異様に遅く、必要以上に重く、画像のみならず、いかなるテキストもコピーすることができない!)のですが、そのサイトにてグループ展示の告知でいくつかの作品が掲載されているのを見つけました。ちょうど私の作品も紹介されていまして、以下のような作品の作者たちがやってくるようです。
























一枚のみなのでどんな作品なのか、どういうシチュエーションで撮られたものか不明なものもあり、好奇心が掻き立てられます。参加者がどんな人たちなのか、他の作品はどんなものが見れるのかwktkです。

いや、こんな長文ブログ書いてる余裕なんて全然無くって、納得のいく作品のまとめがきちんと間に合うのか目茶切迫してるわけで、現実逃避。 :D

2009/05/27

武蔵野美術大学での前期授業日程

いつ学校にいるんですか?と学生に聞かれることしばしばなので、自分が受け持っている授業スケジュールのカレンダーを公開しておきます。

以下の日程で授業があるため、ムサビにおります。
前期の授業はすべて午前のみです。

課題以外の写真をちょっと見てほしいとか、説明に時間のかかる質問とか、なにか話したいとか、図書館の書庫にあるトーマス・ルフの写真集を見たい元ムサビ生とかいましたら参考に。
(事前にメールくれたほうが確実です tsaka@tsaka.jp

2009/05/17

写真展、終了しました

写真展およびトークショーにご来場いただいた皆さん、ありがとう!
展示もトークイベントも楽しく終えることができました。

今日は取り急ぎお礼まで。
明日また記事をアップします。